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井上 ジェイ氏
北海道深川市生まれ 明治大学文学部卒
印刷所、旅行社などに勤務の後、写真家に。ジャマイカのレゲエ・サンスプラッシュ、英国のグラストンベリ−
フェスティバルなどのイベント、ミュージシャンを多く撮影。世界各地を旅行後、1996年に
(株)オアシス・
オフィス
を立ち上げ、音楽制作、レコード販売、デザイン、広告制作、旅行業を営む。自称日本一の英国盤の
レコードコレクターで特にビートルズのバリエーションは膨大。


 




ー最初にイギリスのグラストン・ベリー・フェスに行くきっかけとなったのはどういうことだったのですか

84年に、花房浩一さん(SMASHING MAG)がきて「いっしょにツアーやりましょう」っていわれたんだけど,
彼は82年、83年とグラストン・ベリー・フェスに個人的に行ってて、僕は、その当時、フェスが社会に及ぼす
影響が多大だと思った。当時のグラストン・ベリー・フェスっていうのは、収益金をCND基金
(核廃絶運動を行っている団体)に寄付するということでフェスが組まれたんです。元々は地域の普通の
フェスだったんです。そこの農場主のマイケル・イビス氏の個人的フェスだったんですけど、82年ごろから
CNDを支援するフェスになっていったんです。それが話題となって、ローカルなフェスから一気にメジャーな
フェスになっていったんです。その当時も核や原子力発電に抵抗する勢力がありましたね
.

ーチェルノブイリの事故はその頃でしたか

チェルノブイリは85年だったかな。ほら言ったことかって当時はいってましたね。事故が起こると大変なことに
なるんだなって団体は言ってましたね。その団体はイギリス全国規模のものなので、その人たちにこのフェス
の告知が出来て、それに共感を持っている人たちはみんなフェスに行きましたね。「面白そうなフェスだねって」
当時はCNDを助けようって盛り上がったんです。それまではそんなに盛り上げるフェスではなかったんです。
CNDを助けようってみんな集まって8万人以上集まったんです。


 
  1985年の当時のフライヤー。反核団体「CND」の文字が記載されている。
 


ー最初はどのくらいだったんですかか

最初は70年ごろで数千人だったってことです。2000人とも3000人とも言われてて,ほんとローカルなフェス
だったんです。ただその頃デビューして2〜3年の若いデヴィッド・ボウイが出演したりはしてたよ。


ーそこから急に巨大になりましたね

70年代はフェスが行われてなかった事があるんです。そして80年代初めからまた復活して、そこからだね。
82年ごろからはコンスタントに開催されていて、
農地を休ませて牛の餌となる牧草の保護のために5年毎
に休催しているね。そしてやっぱり人も増えてくると、問題も増えてきてね。例えば、予定してたより人が多
く集まり過ぎたり、キャンプ場が溢れちゃって、農家の土地で勝手にキャンプを始めたりして、地域に迷惑
を掛けるようになってきちゃって、それで一旦休んだりってことになって、そこから、今では地域の認可をとって、
毎年行うようになったんです。


ー84年に最初にグラストン・べりー・フェスを体験してどうでした

やっぱり、びっくりしましたね。昔僕らの時は映画でウッドストックとか見てたし、モンタレー・フェス
とか見てなんとなくヒッピーの集まりかなって思っていたりしたけど、やっぱり時代も違うし、行ってみ
たら84年なんでヒッピーというよりPUNKでしたね。PUNKがまだ終わってない時でしたから。会場いくとア
タマ・ギンギンに髪たてたPUNKSがいましたね。かといって依然としてヒッピー風な人たちもいましたね。
ありとあらゆる人が集まっていました、それはびっくりしました。1つのコンサートって会場は同じ志向の
ひとが集まっているんだけどグラストン・べりー・フェスを見た時は様々なひとが集まっていたんです。


 

1984年の当時のPROGRAMME.

 


ーアーティストも様々でしたか


PUNK,レゲエ、から様々なバンドが出てましたね。

ーそのころのステージはどうでしたか

当初からいっぱいステージはありました。中でもメインになるのはピラミッドの形をしたピラミッド・
ステージですね。そこがメイン会場になるんですね。そして、そのころは、他にちっちゃい会場というか、
至る所でライブが行われているんです。たしか、プログラムっていう形では組まれてなかったと思います。
かってに楽器持ち込んでそこら辺で演奏してましたね。



 

『中央真ん中に位置しているのがメイン会場のピラミッド・ステージ』(イギリス誌『NME』より掲載)

 


ー自由だったんですね

極端にいうと、客が柵を乗り越えて、会場に入ってくることがあって、夜中に紛れて忍び込んでくるファン
が出てきて、多い時はちゃんとお金を払って入っている人よりタダで入っている人の方が多かったりしたん
です。柵っていっても普通の農場の柵ですから、いっぱい入ってきちゃうんです。それから徐々に防御柵を
作っていったんです。それでも入ってくるんです。ある時は梯子屋が現れお金を取って入れる商売ができた
りした悪どい人たちがいたんです。



ー最近はそういう事はないんですか

最近は半端じゃないフェンスが張られていますね。それからパトロールもしていますね。やっぱりちゃんと
お金払った人に不公平ですからね。そして入り口は2ヶ所しかないんです。そこを通らないと入れないんで
す。そして最近はチケットに名前が入っているし、入場のときにIDとかパスポートで照合するんです。本人
かどうか、確認するんです。



ー毎回行かれるといつも何日ぐらい滞在するんですか

4日間ですね。木曜日に入って月曜日に帰る。近くにホテルとかが無くて、ほんとに農家っていうか牧場なん
です。参加している人は99%テント生活です。そしてみんなテントの中で着替えたり、タオルで体を拭いたり
しているみたいです。でも日本の様に気温がジメジメしていなくて乾燥していますから、そんなに気にならな
いです。イギリスの6月で日も延びて暖かくて気持ちがいい時期ですね。雨が降ると牧草地帯なのでグチュグ
チュになりますけどね。


ー最近日本でもフェスが盛んですが

基本的には同じで、日本もフジ・ロックのおかげで変わってきているけど、向こうの人は、子供時代から、
ボーイスカウトとかでキャンプ慣れしていますね。キャンプ場には、歌のステージがあったり、サーカス
テントがあったり、映画上映があったり、まさに、今のフェスの原点はがそこにあるんです。それの巨大に
なったのがグラストン・べりー・フェスでありフジ・ロック・フェスに繋がっているんですね。ビートルズ
もデビュー前にバトリンのキャンプに参加して歌っていたみたいですね。

 
  日本のフェスでもお馴染みのGUIDE。元々はグラストンベリーが始めたこと。首にかけられ、アーティストの時間割、
会場MAPなど掲載されていて便利。


 

ーイノウエさんはグラストン・べりー・フェスへのツアーを企画されてますが、いつ
 ごろからされているんですか。

僕が会社を作ったのが96年ごろでその次の年からやってますね。前の会社で企画した時は参加者は15人ぐら
いでしたね。いつもぎりぎりでしたね。フェス自体そんなに有名じゃなかったしね。当時は旅行費も今に比べ
て高かったしね。当時は35万円とか掛かってましたね。今は30万円しないですからね。そして最近は50人ほど
の参加になってます。リピーターの方が多いんですよ。一回行っちゃうと味をしめて、またってことで、毎年
参加されている方とかいますね。


ー最後にイノウエさんにとってフェスってなんですか

やっぱり音楽が好きなんですよ。あのコンサートが見たいっていう所が一同に集まっていっぺんに見れるん
だったらこんなにいい事はないですよね。しかも普段見られないようなアーティストがたまたま見れたり、
そこが面白いよね。新たな発見が出来る楽しさがあるよね。それから色んな音楽好きの連中が集まってきて、
仲間が出来たり、共通の話題が出来たり新しい発見があるね。特にグラストン・べりー・フェスなんかは
サッカーのワールドカップが行われる年は会場に巨大なスクリーンが出来てみんなサッカーの応援をしてる。
その時は演奏しなかったり、そんなのが面白いよね。


当初からいっぱいステージはありました。中でもメインになるのはピラミッドの形をしたピラミッド・
ステージですね。そこがメイン会場になるんですね。そして、そのころは、他にちっちゃい会場というか、
至る所でライブが行われているんです。たしか、プログラムっていう形では組まれてなかったと思います。
かってに楽器持ち込んでそこら辺で演奏してましたね。

ーこれからフェスに参加される方にアドバイスをください

フジロックも本当に毎年面白くなってきてるし、楽しいけど向こうのフェスは本当に規模も違うし、なんて
いっても殆ど外人だし、雰囲気が全く違うんです。出演する人もいっぱいいるし、ぜひ一回体験してほしい
ですね。規模の面でも雰囲気の面でもね。あと匂いもね。


 


ー匂いですか

そう牧場の匂いね。牛の糞の匂いね。イギリスは工業国ではないですよ。本当は牧畜の国ですよってとこ
ですね。



TEXT:TAKAMOTO(PGS音楽市場)
PHOTO:KURIBARA(PGS音楽市場)

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